言葉のキャッチボールは無理なのか?〜独り言ばかり話す子ども〜


「いつも場面に関係ない言葉を話してる」「TVやYoutubeのセリフばかりしゃべる」など、独り言のように話す子どもへの対応をどうすればいいのかという話をよく聞きます。

障がいがあるから言葉のキャッチボールは無理なのか、放っておくしかないのか。そんなふうにコミュニケーションを諦めてしまっていることもあるようです。

今回は、場面に関係ない言葉や独り言を話す子どもとのコミュニケーションの取り方についてお話しします。

なぜ、ずっと独り言を言っているのか

私が出会った子どもを例にお話します。4歳のSくんは地域の幼稚園に通っています。お母さんの心配ごとは「集団になじめない、多動、興味が偏っている、不思議なしゃべり方をする」ということでした。

Sくんの生まれてから今までのこと、普段の家での様子を聞いてみると、

  • 物への興味が強く、そのおかげか1歳前に歩き出すなど運動面は活発
  • 甘えることが少なく人見知りもほとんどしなかった(愛着関係が弱い)
  • 大人とのふれあい遊びやスキンシップ、物を介したやりとり(おもちゃで「はい、どーぞ」など)の経験が少ない
  • 自分の興味に沿って1人で行動し、その範囲がどんどん広がった

ということが分かりました。

本来、大人との遊びを通して愛着関係を築き、そこから大人がしていることや持っている物などに興味を持って物を介した遊びが始まるのですが、Sくんの場合は人よりも先に物へ興味を持ち1人で遊べてしまっている状況です。そのまま興味のままに1人で行動してしまうんですね。

そうすると、「危ないことをしてしまう」「人に迷惑をかける」などの理由で注意されたり怒られたり、やりたいことを制止されてしまうことが増えてしまいます。どこまで理解できているのかも分からないので、体を使って止めることが多かったようです。

遊びを通して大人と楽しいことを共有する経験が少ないSくんにとっては、好きなTVのアニメやYoutubeなどで色々なことを覚えたり学んだりしてきたのですが、結果として、周りの人から理解されにくい自分流の表現を身につけてしまっていました。

対応の仕方

「それならSくんとたくさん遊んで関係を深めるところから始めよう」と思いましたが、はじめのうちは大人の対応に敏感で、Sくんの持っているものを「これは何?」と聞く、「◯◯しよう!」と誘いかけるなど『させられる気配』を感じ取るとすぐにはねつけていました。

そこで、お母さんも支援者も、Sくんの興味や願い、気がかりに思っていること等に気を配り、Sくんに寄り添って興味や経験を共有するように関わってみました。

例えば、Sくんの好きなTVやYoutubeの場面・セリフ・キャラクターなどに関心を向け、視線や行動に注目しながら、「◯◯やねぇ」「△△は~なんだね」と、Sくんが「そう、そう」と思えるような対応を心がけました。

渋ったり嫌がったりするときは、「イヤだった?」「ごめんね。じゃあ、どうしよっか?」と謝り本人の意思を聞くようにしました。

また、自分の思うようにならず「助けて!」「△△!(キャラクター名)」と言うことがあるのですが、そのように必死になっている時には、手助けしつつ「悔しいね」「困ったね」と慰めるようにしました。

どのように変わったか

そうしていくうちに、Sくんの行動や言葉の表現に変化が表れてきました。お母さんの顔を見て声かけを期待する、声かけを喜ぶ、大人の言葉を自発的にまねる、「お母さん」「○○して」など呼びかけや要求の言葉が増える、「できた!」「見て!」と自分を見てほしがる、「イヤ」「こわい」と意思・感情を表現するなど、本人からの訴えが分かりやすくなり、やりとりが何倍にも増えました。以前の不自然な表現やセリフはほとんど聞かれなくなりました。

まとめ

今回の例は、Sくんが場面と関係のない(ように見える)言葉をしゃべるようになったのには背景があること、言葉は指導・訓練によって正しい表現を身に着けさせようとするのではなく、本人にとって心地よい人の環境のなかで育まれることを教えてくれました。子どもの立場に立った細やかな配慮と心に届くやりとりが求められます。

お母さんはSくんの幼児期を振り返り、「場面に合わない言葉は自閉症の特性で一生変わらないと思っていましたが、やりとりの質が変わることで言葉は育つのですね」と話してくれました。

子どもたちの表面上の行動や表現にとらわれず、その背景にある心に目を向け、気持ちが響きあう人間関係を築くことが大切です。ぜひ参考にしてみてください。

お母さん1人で変えようと思っても、変化を共有できる相手がいないとしんどくなることもあると思います。よかったら一緒にお子さんのサポートをさせてください。Twitterや「お問い合わせ」から相談を受け付けています☺️

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